2023年9月より、リビングデザインセンターOZONEに新しいショールーム【UNIWOOD×Aria&Aura / Woodworks】が加わりました。OZONE 5Fの【Aria&Aura Harmonia Gallery】に隣接するエリアに新設されたこのショールームは、コラボレーション・ブランドである「Aria&Aura」を構成する6社から、ユニウッド株式会社と株式会社ウッドワークスの2社をさらにクローズアップしたスペースとしてオープンしました。今回の新ショールームのねらいや、ご紹介したい商品などについて、ユニウッド株式会社代表取締役の佐藤元平さんと、株式会社ウッドワークス常務取締役の中屋敷雅史さんにお話を伺いました。
コラボレーション・ブランド「Aria&Aura」の成り立ち
―6社のコラボレーションによる共同運営という特徴を持つ、「Aria&Aura」ブランドの誕生の経緯をお話しください。
佐藤 バブル後の90年代は、私たちの木製建材業界にはかなり厳しい時代で、ずいぶんと淘汰が進みました。生き残った各社も、あらゆる製品を網羅した大手建材メーカーと単独で競い合うのはなかなか難しい状況にありました。そこで、それぞれに得意分野を持つ中小の木製建材関連会社が結束して、質の高いブランドとしての統一イメージを作っていこうということになりました。
中屋敷 6社本来の中核事業を説明すると、私たちウッドワークスは室内木製ドア、ユニウッドは木製サッシ、辻産業はガラスパーテーションで参加しています。杢創社はキッチンやテレビボードなどのオーダーメイドの木製家具、鹿島木材とゴトウ木材は、木製品の源流である木材と製材そのものを主に取り扱っています。
―近年話題の「林業の6次産業化」(伐採・製材→加工・製造→小売販売の一体的な事業化)を体現するような、木製品製造の川上から川下までの流れを一貫してカバーできるブランドということですね。
中屋敷 さらに高級インテリアブランドとしての品質の高さも大きな特徴です。これら6社が打ち出すAria&Auraの統一的なこだわりとして、「ブラックウォルナット、ブラックチェリー、ホワイトオーク、ハードメイプルのアメリカ広葉樹4樹種に限定した製品づくり」、「木目の美しさと無垢材の質感を活かした、厚さ2mmの天然木無垢材挽き板の使用」を掲げています。さらには6社すべてがAria&Aura結成前から丁寧なオーダーメイド生産を信条としていた会社ばかりでしたので、お客様の要望をしっかりと聞き取り、製品に反映させていくクラフトマンシップが、そのままAria&Auraの特徴としても受け継がれています。
佐藤 逆にいえば、これらのこだわりと品質を大事にした製品づくりに賛同いただける企業であれば、現在の6社に限らず、今後もパートナーを増やしていきたいと思っています。信念で結ばれながらも、ゆるやかで自由な結びつきを持った私たちの活動は、今の時代にも合っているのではないかと考えていますよ。
※参照:開発ヒストリー「木のプロフェッショナル6社が紡ぎ出すコラボレーション・ブランド Aria&Aura Harmonia Gallery」
「木製サッシ」に特化していったユニウッドの歴史
―Aria&Auraに木製サッシ製造で参加しているユニウッド株式会社の事業内容や特徴について、お聞かせください。
佐藤 1957(昭和32)年に新潟県村上市で創業しています。元々は地元の学校に木製の窓枠などを納めていた建具屋でした。その後、戸建て住宅用の下駄箱や壁面収納などの家具、階段や木製ドアなどの製造も始めました。しかし先ほども話したように、分厚いカタログであらゆる製品を受注できてしまう大手メーカーに、私たちのような専業メーカーが太刀打ちするのがなかなか難しくなってきまして。しばらくはそうしたメーカーさんへの、OEM供給元としての生産が中心となった時期もありました。
―そこからさらに現在の中心的事業である木製サッシの生産に的を絞っていくわけですね。
佐藤 そうです。日本でも高気密・高断熱の住宅が注目されつつあった頃でしたので、断熱性・気密性の面で北欧で盛んだった木製のサッシに注目したわけです。徐々に木製家具からの業態転換を図り、職人も育成していきました。なにより、元々学校の窓枠を作っていた弊社ですから、基本的な技術は持っていたので。ただし、着手した当初はまだまだアルミサッシ全盛だったので、木製サッシといっても、山小屋風のログハウスに付ける窓枠のようなイメージで捉えられていましたね。
しかし弊社では、コンクリートやガラス、金属等異素材との組み合わせにより、モダンで高級なインテリアと組み合わせても十分似合うはずだと踏んで、品質やデザイン性の高い木製サッシを製造できるよう、開発努力を重ねてきました。そうこうするうちに、地方の商業施設や宿泊施設、別荘などで、パノラマ的に景観を楽しめるように大開口部を作る設計・デザインが流行し始め、それに見合うデザインとクオリティを持った重厚な木製サッシの受注が大きく伸びてきました。弊社の想定が当たったわけですね。コロナ禍の3年半の中でも、この需要は鈍ることなく、順調に伸び続けてきました。
―ここ数十年、サッシといえばアルミサッシという時代が続いてきましたが、いま、あらためて木製サッシが注目を集めている背景には何があるのでしょうか?
佐藤 アルミという素材は熱伝導率がとても高く、熱を逃がしやすい性質です。ということは、急激に冷えやすいわけでもあり、結露という大きな問題も抱えています。加工性や軽さの面で便利ではあるけれど、ある意味、「窓」という部材にはあまり適さない素材だったわけです。そこに先ほどもお話したような、住宅の断熱・気密性能への注目が高まってきたので、アルミサッシの見直しが始まっているということだと思います。
とはいえ、木製サッシにも耐水性・耐候性などの弱点があります。そこで弊社は木製とアルミ製の良いとこ取りをした「アルミクラッド」という製品を開発しています。これは雨や紫外線が直接当たる室外側をアルミ外装板でカバーするもので、室内から見える内側は美しい木目の木製サッシのままというハイブリッド型の窓枠製品です。メンテナンス期間もサッシ自体の寿命も大きく延ばすものですし、木製部分とアルミ外装板の間には空気層を設けているので、湿気がこもらず乾燥しやすい構造になっています。当初は寒冷地向きの商品として弊社も北海道だけで販売していましたが、Aria&Auraへの参画を機に販売先を大きく広げた形になります。Aria&Auraの推奨するアメリカ広葉樹は、本来窓枠には向かない樹種ですが、アルミクラッドで製品化することによって、この風合いを大開口の窓枠でも楽しめるようになりました。
新ショールーム【UNIWOOD×Aria&Aura / Woodworks】のねらい
―それでは、新たに誕生した展示エリア【UNIWOOD×Aria&Aura / Woodworks】について詳しくお聞かせください。
中屋敷 Aria&Auraは6社の協業ブランドですが、今回はそのうち、ユニウッドとウッドワークスをさらにクローズアップした新エリアとしてオープンするものです。ユニウッドさんに関しては、Aria&Auraでも展開している木製サッシの展示内容を拡張する形になるので、ユニウッドによるAria&Aura製品、つまり【UNIWOOD×Aria&Aura】という名称になっています。
そして弊社ウッドワークスが担当する部分に関しては、Aria&Auraに提供しているものとは別筋の…… つまり、アメリカ広葉樹4樹種や無垢挽き板に限らない、ウッドワークスがもともと展開していた様々な素材や製造方法によるドア製品を展示するプロ向けショールームとして整備しました。ですので、Aria&Auraの名を付けず、【Woodworks】を名乗っています。実質的には木製サッシとドアという2つのコーナーに分かれているわけです。
中屋敷 特に最初から2社に限っていたわけではなく、新しい展示エリアに参加したい企業を6社から募ったところ、今回はたまたまこの2社が手を挙げた形になります。私たちウッドワークスは、ドア製品に特化したショールームとしての活用を考えています。エンドユーザーの方に立ち寄っていただくというよりは、営業マンが設計事務所さんや工務店さんなどをご案内するB to B利用を念頭に置いた、サンプルを豊富にそろえたプロ向けショールームとしての機能を強化しています。ユニウッドさんは、現在のAria&Auraの展示エリアには収まらない、大型の新商品「コーナーサッシ」を展示できる場所として、新エリアを作ったということです。
―ユニウッドが今回の展示の目玉として用意された「コーナーサッシ」とは、どのような商品なのでしょうか?
佐藤 弊社がAria&Auraに提供している大型木製サッシのシリーズ“ヘーベシーベ”の中の一つですが、要するに窓枠と窓枠で作られた「角」に柱が無く、コーナーが丸ごとフルオープンになるタイプのものです。大開口に加えて柱が無いので、2面に広がる大パノラマで景観を堪能できる画期的な窓枠になります。このタイプの商品は、梁の強度の問題など建築設計との調整も不可欠ですし、施工した後も不具合がないかどうか、長期にわたってメンテナンスが必要です。要するに、施工難易度の高い製品なんですが、それに見合うだけの価値のある窓枠として、当社は敢えてそこにチャレンジしているわけです。新しいショールームでは、サッシの嚙み合わせだけで「角」を作り出すそのデザインや機能を、ぜひ実際に触れて体験していただきたいですね。
―来年には創立10周年を迎えるコラボレーション・ブランドAria&Aura。その歩みの中ほどで起こったコロナ禍の期間には、室内環境やインテリアデザインへの再注目、別荘需要の増加など、様々な環境の変化があったとのこと。それをプラスの方向に活かしつつ乗り切った現在では、ブランドを構成する様々な商品群の認知や売り上げが、平均的に安定するようになってきているそうです。10周年に向けては、2つのショールームの連動も含め、ブランドとしての新たな展開を目指していきたいとの抱負の言葉をいただきました。10年目からのAria&Auraにも大いに期待したいと思います。
―ショールームよりメッセージ
UNIWOOD×Aria&Aura
大パノラマで景観を楽しむこと、さらに家のコーナー部に柱や窓枠がない非日常的なフルオープン空間をドイツ製グレッチウニタス社のヘーベシーベで実現することができました。家の角に柱がないことが前提な為、RC造、鉄骨造への取り付けが適している窓です。異素材と組み合わせにより、より美しい住宅設計のお手伝いが出来れば幸いです。
Woodworks
今年の7月でAria&Aura10年目、また11月に東京オフィス開設20年目の節目の年に新ショールームを新宿OZONEにオープンすることが出来たことに非常に感慨深い物があります。東京オフィス開設時は中央区八丁堀1丁目に事務所併設でショールームがありましたが、現在の事務所に移転した際に縮小しました。いずれはまたショールームを作りたいと思っていましたが、今回機会に恵まれ念願のショールームが出来ました。是非見に来てください。
※文中敬称略
※2023年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。