ヨーロッパの住空間創造に欠かせないアイテムとして長い伝統を持つ、家具・建具用の精密な金物づくりの文化。その精神を現代に引き継ぐ1923年創業のドイツの金物ブランド「Häfele(ハーフェレ)」は、OZONE 7Fの【ハーフェレ ジャパン新宿ショールーム】を運営しています。ヒンジ、引き出しレール、キャビネット金具、家具用ハンドルなど、多種多様なインテリア金物が紹介されていますが、その中で少々異彩を放っているのが、メラミン樹脂化粧板と木質ボードによる製品群の存在です。そのねらいについて、株式会社ハーフェレ ジャパン 新宿ショールームのマネージャー 大木聡さんにお話しを伺いました。
―本物の木材と見間違うほどのメラミン化粧板
「このメラミン化粧板のシリーズはハーフェレの製造ではなく、オーストリアの大手木質ボードメーカー、フリッツ・エガー社(EGGER)の製品です。ぬくもりのある木目柄やエンボス加工による凹凸感をメラミン樹脂で再現した化粧板を基本に、低圧メラミン化粧パーティクルボード「Eurodekor」、さらにエッジ(木口)にもABS樹脂を用いた専用の化粧板を貼り合わせることで、本物の木と見間違うくらいの見た目と質感を持つ表面に仕上がっています。デザイン性と品質、それに環境配慮を兼ね備えた化粧板として信頼が高く、デスクトップ、テーブルトップ、室内ドア、キャビネット、キッチンなどの基材・表面材として、ヨーロッパの住宅や店舗、ホテル、オフィスなどで数多く採用されています。」(大木)
実際に手に取ってみても、本物の無垢材と見分けがつかないほどの風合いと重厚感に驚かされます。加えて、摩耗、衝撃、ひっかき傷、熱や薬品にも強く、食品に害を与える成分も含まないという特性も備えています。しかし、金物メーカーであるハーフェレが、なぜ化粧板や木質ボードの品質にこだわり、エガーという他社製品の輸入・販売を行っているのでしょうか。
「ドアやキャビネットに不可欠な金具づくりがハーフェレの本業ですが、それとマッチする板材としては、同じヨーロッパ家具の伝統の中で培われたエガーの製品がやはり最適ということです。寸法や強度、環境基準など、日本とは若干異なるユーロ圏独特のルールの中で作られる製品として、ハーフェレ製品との適合性が高いわけです。そもそも、ハーフェレの金具の多くは、釘やビスの効かないパーティクルボードでの使用を前提に設計されているので、ヨーロッパ仕様のパーティクルボードが必ず必要になります。ハーフェレとエガーの製品をセットで提供することで、本物のヨーロッパスタイルのインテリアをお届けしたいと考えています。」(大木)
―詳細な環境性能の開示
金具と板材という、家具や建具づくりにおける表裏一体の関係にあるハーフェレとエガーの製品。しかし、メラミンやABSなどの化石燃料由来の成分を含むこの素材は、一見、環境負荷が高いようにも思えます。エガーの製品では、どのような環境配慮が行われているのでしょうか。
「木材資源が豊富な日本の感覚だと、本物の木材をふんだんに使える状況にあまり疑問を持ちませんが、合板や集成材、化粧板などが家具や建具づくりの中心を成している地域も、世界にはたくさんあります。もともとハーフェレにもエガーにも、品質にバラつきのない工業製品を安定的に供給するという考え方が基本にありますし、ヨーロッパの厳格な環境基準の順守が大前提です。 無垢材を得るために森林伐採を行うのではなく、そもそもが倒木や廃材、製材所から排出される木くずなどを活用したリサイクル製品であるパーティクルボードやMDFなどのチップボードを使い、その表面を美しく見せるため最小限の樹脂材を使う、という考え方をしています。そのほうが環境負荷も少なく、無垢材や突板(つきいた)を使うよりも費用効果が高く、製品としての品質や供給も安定するということです。」(大木)
ハーフェレが発行しているメラミン化粧板シリーズのカタログには、カーボンフットプリントを筆頭に、「再生可能資源と化石燃料資源との割合」「リサイクル素材/製材業副産物/新規資源の割合」「地産木質素材の割合」「合法と検証された森林からの調達木材の割合」など、他ではあまり見たことがないような詳細な環境性能が公開されています。
デザインと機能、品質、汎用性に環境配慮など、様々な視点から要注目の商材です。
―メーカーよりメッセージ
ハーフェレ ジャパン新宿ショールームでは、フリッツ・エガ―の大判のボードサンプルをバラエティ溢れる色柄でご用意しています。木目柄だけでなく、石目柄や指紋レスの仕様もございます。様々な色柄の組み合わせや、実際に手で触れてその質感をお確かめください。ショールームは完全事前予約制です。ご予約はハーフェレ ジャパンホームページよりお願いします。
:株式会社ハーフェレ ジャパン 新宿ショールーム マネージャー 大木聡さん