昭和元年創業の建具メーカー、株式会社ウッドワークス(大阪府)を中心に、ユニウッド株式会社(新潟県)、辻産業株式会社(大阪府)、株式会社杢創社(香川県)、鹿島木材株式会社(静岡県)、有限会社ゴトウ木材(奈良県)の計6社の木材・建具・家具メーカーが結集。100年の時を超えた銘木から、木の魅力を活かした上質なプロダクトを多くの住まい手に提供するコラボレーションブランド「Aria&Aura」が2014年に立ち上がりました。リビングデザインセンターOZONE 5F【Aria&Aura Harmonia Gallery】は、その中心的ショールームとしてブランド設立時からAria&Aura製品の魅力を広く伝え続けています。本ブランドが目指すものについて、Aria&Aura Harmonia Galleryの高野晃子さんにお話しを伺いました。
―”FURNITECTURE”というコンセプト
「Aria&Auraは、家具(Furniture)と建築(Architecture)を掛け合わせた造語 “FURNITECTURE” という概念を提唱しています。私たちが提案する造作家具や建具は建築の一部であり、いわば空間を構成する「骨格」にもあたります。簡単に交換することができない部分だからこそ、そこには普遍的な価値を感じていただける造作家具や建具が必要だと私たちは考えています。
また、Aria&Auraが扱う北米の広葉樹は100年単位の時間をかけて成長し、さらに製品になった後も木が生きた年数は使えると言われています。100年の時を超えた銘木に新たな命を吹き込むために、「木」という素材を最上の状態に仕上げ、100年間使っていただける製品を多くの方へお届けすることが私たちの使命だと感じています。
長く愛着を持って使っていただけるよう、製品は完全オーダーメイドにこだわっています。商品ラインナップは木製ドア、木製サッシ、ガラスパーテーションなどの建具類、キッチン、ドレッサーなどの造作家具を中心としています。その他、階段、棚などの造作材や無垢一枚板のオーダーなども合わせて承っていますので、木で作れるものでしたらお気軽にご相談ください。」(高野さん)
最近はプロの方が目指す空間への想いに応えるため、様々な質感や形状、色調などに個別に対応可能なオートクチュール・プロダクトにも力を入れているとのこと。協働企業6社が今までの実績や培われた技術力を活かし、建築家やデザイナーの感性に寄り添う、高い自由度と柔軟性を活かした提案ができる点も強みになっています。
「これまでは建築領域(ARCHITECTURE)だったものを、家具(FURNITURE)のように、建築家や住まい手の感性に応えられるものにシフトしていきたい…… “FURNITECTURE” という概念には、そんな気持ちが込められています。住まい手が求めるこだわりと、建築家が提案したくなるこだわりと、どちらにも応えられるブランドとしてこれからも新しい挑戦をし続けていきたいと思っています。」(高野さん)
―木製サッシへの注目の高まり
Aria&Aura商品ラインナップの中でここ数年特に人気があるのが、ホテルや飲食店、別荘や富裕層向け住宅などの大開口部にも対応した大型の木製サッシです。近年、注目が高まり、建築家・設計会社からの問い合わせも増えているそうです。
「豊かな光が得られ、美しい景色が臨める大型の開口部ですが、大面積の窓ガラスの重さを支え、加えて開閉を行うとなると、これまでは頑強な金属製のサッシが必須とされていました。しかし、近年の木製サッシは技術の向上により、窓に求められている基本性能である “断熱性・気密性・水密性”が高まっていて、アルミサッシや樹脂サッシに比べても性能的に劣るということは決してありません。むしろ、断熱性や防露性の点で非常に優れた性能を発揮します。多くの方が心配される雨風による影響も、室外側にアルミ外装材を被覆するアルミクラッドを採用することで、木の持つメリットは保ちつつ室内側のデザインの自由度と室外側のメンテナンスフリーを両立しています。
また、ブラックウォルナットをはじめ、ブラックチェリー、ホワイトオーク、ハードメイプルなどの樹種は、本来外部使用には向いておらず、あくまでも内装材や家具として、その木目の美しさを楽しむものでした。しかしAria&Auraはアルミクラッドの採用により、今までの木製サッシでは実現できなかったそれら銘木の使用を可能にし、無垢材の表情を感じられるサッシを誕生させました。ショールームには幅4メートルの大型木製サッシ “ヘーベシーベ” を展示しています。是非その迫力を感じていただきたいですね。」(高野さん)
―“無垢挽板”で目指すブレイクスルー
選び抜いた木材を使ったドアやサッシ、ガラスパーテーションなどの建具類はもちろん、キッチンやドレッサー、収納などの造作家具、玄関框(かまち)、無垢一枚板のテーブルやカウンター、さらには階段や棚板などまでがすべてオーダーメイド可能になっているAria & Auraの製品。これらの自由な発想、自由なオーダー、自由なデザインを可能にしているのが、こだわりの「無垢挽板」の存在です。
「建具や家具として加工された後も木は呼吸をするため、無垢の板材は湿度環境によっては反りやねじれ、割れがどうしても生じます。そのため、精密な加工が求められる建具や家具に無垢材を用いる場合、デザインの自由度に制約がかかってしまうというデメリットがありました。それに対応するためは、無垢を諦め、薄い板を複数層貼り合わせ、表面には0.3mm程度にスライスした突板(つきいた)貼って化粧を施した、動きの少ない素材を使うのが一般的です。
しかし、Aria & Auraは独自の技術を使い、表面に2mmの厚さを持った“無垢挽板(むくひきいた)”を使用しています。無垢材の質感と重厚感を保ちながら、反りや割れを最低限に抑え、デザインに自由度を持たせることを両立しています。表面材に厚みがあるため、木の質感をそのまま生かして風合いを楽しむことができるオイル塗装を、しっかりと含浸させることもできます。」(高野さん)
無垢の木材を贅沢に使って木の風合いを最大限に楽しみたい気持ちと、反りや割れを恐れて控えめな使用、限られたデザインを選択せざるを得ない状態…… 古来より木材を使った家具や建具、内装材の世界は、この二律背反にずっと悩まされてきました。Aria&Auraによる無垢挽板の研究と活用は、その解消に向けた大きなブレイクスルーをもたらしてくれるはずです。
―“経年美化”していくインテリアを目指して
無垢挽板の特徴でも触れられたように、Aria&Auraの木製品には、表面をコーティングするウレタン塗料ではなく、含浸塗料が使用されています。オイルを木材に浸透させるので、木本来の手触り・質感をそのまま楽しむことができ、かつ、時を重ねるほど、重厚感のある美しさへと風合いが変化していきます。
「ウレタン塗装は木の表面に塗膜を作ってしまうので木の質感が目減りしてしまいますが、含浸塗料は木肌の手触りを守り、木の呼吸を妨げません。耐久性に優れたエクセレントオイルを使用しているので、水回り周辺など汚れが気になる場所でもメンテナンス頻度を軽減することができます。また、Aria&Auraで扱う天然木は、そのいずれもが経年と共に色合いが変化していく性質を持っています。家族の生活と共に時を重ね、使い込むほどに部屋全体の雰囲気になじみ、美しさを増していく…… そんな”経年美化”という言葉がふさわしい空間になっていくことを理想としています。
さらに、丸太から切り出される木材のうち、節などが少ない稀少な部分にあたる “スーパープライム” と呼ばれる最高品質の木材を採用しています。木目に関していえば、Aria&Aura協働企業のクラフトマンたちが木材を見極め、製品になった際の木目の見え方、組み合わせを慎重に考えながら木取りを行っていきます。原木から同じ木目を大量に切り取ることはできませんが、それを美しく継ぎ合わせていくことで自然な風合いを出すことは可能です。特に、広い面での木目の並びをしっかり揃えることには、格段の努力と工夫を費やしています。」(高野さん)
人間の都合で切り倒された木は、最大限に活用しなければいけない……と標榜するAria & Aura。まるで宝石の原石を磨き込むかのように木材を吟味し、無駄なく良さを引き出す方法が考え抜かれています。そして熟練の職人が手間暇をしっかり掛け、6社の知恵と経験を寄り合わせて製品を仕上げていくその工程には、木への敬意とともに、木と人間が100年単位で熟成させていく「時間」への敬意にもあふれているように思います。
―ショールームよりメッセージ
新宿ショールームでは銘木4樹種を組み合わせた商品ラインナップをご覧いただけます。クラフトマンの技が生きる手仕事で木の持つ美しさが最大限に引き出されています。本物の木が持つ、あふれ出す生命力を是非ショールームでご体感ください。
【Aria&Aura Harmonia Gallery 高野晃子さん】
OZONE 5Fショールーム【Aria&Aura Harmonia Gallery】
【Aria&Aura 公式サイト】
「Aria & Aura」公式サイト
大阪に誕生した「上質な暮らし」を追求する新たなショールーム「The Atelier Furnitecture Osaka」
【Aria&Aura 協働企業】
株式会社ウッドワークス / ユニウッド株式会社 / 辻産業株式会社 / 株式会社杢創社 / 鹿島木材株式会社 / 有限会社ゴトウ木材
※2022年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。