これからの家具選びは、デザインや機能だけでなく、未来の暮らしや環境のことも考えることが大切です。
環境に配慮した製品を購入することはもちろん、ライフスタイルに合わなくなったものを廃棄するのではなく、今あるものを丁寧に使い続けることもサステナブルな行動のひとつ。
リペア(修理・修繕)はファッションなどだけでなく、住まいや家具のなかでも誰もが取り組んでいけます。
そこで今回は、確かな品質のものづくりとリペアに取り組むOZONEのショールームをご紹介します。
vol.1では、浜本工芸 東京ショールームの東海林康之さんにお話を伺いましたので、ぜひご覧ください。
― ナラ・オークの無垢材にこだわった、無駄のないものづくり
浜本工芸は、学習机をはじめ、ダイニングテーブルやソファ、椅子などを製造する家具の総合メーカー。その最大の特徴は、創業以来ナラ材に特化した家具をつくり続けていることです。
一般的な国内の家具メーカーは、お客様のニーズに合わせて、ウォルナットやチェリー、メープルなど、扱う木材も多様化していますが、浜本工芸では一貫してナラ・オークの無垢材にこだわり続けています。
ナラ材は、堅く重厚で耐久性に優れているだけでなく、美しい木目も特長的。使い込むほどに馴染んで経年変化も楽しめ、年々希少価値の高まっている木材です。
オークはナラの英語表記で、産地が異なります。ナラ材に近い風合いのオーク材を厳選し、2種類の木材を併用することで価格を抑えています。
品質の良さはもちろん、無駄のない製品づくりができることも、木材の種類をナラ材に限定している理由のひとつです。
細かな端材も捨てることでコストがかかり、その分価格に反映されてしまいます。
そこで浜本工芸は、大小さまざまな製品をつくることができる総合メーカーの強みを生かし、端材を再利用する取り組みをしています。
例えば、トレーやコースターなどの小物にしたり、ナラ材でボールペンをつくり、ノベルティとしてプレゼントしたり、いかに廃棄物を減らしてお客様に喜んでもらえるかを考えています。
― 永く、美しさを保つための「UV塗装」
浜本工芸を代表する学習机やダイニングテーブルの天板は、表裏両面に「UV塗装」を施しています。
「UV塗装」は、一般的な塗装よりも強度が高く、キズが付きにくいのが特長。汚れにくく落としやすいため、例えばうっかりマジックで書いてしまっても消しゴムで落とすことができます。熱にも強く、焦げ跡も残りにくいので日常的に気にせずお使いいただけます。
汚れないように、食卓にビニールシートを敷いて使っている方もいらっしゃると思いますが、せっかく無垢のテーブルを購入したのにもったいないですよね。
浜本工芸のUV塗装仕上げの家具なら、自然な無垢の風合いを感じながら、気兼ねなくお使いいただけます。
また、UV塗装は紫外線を当てることで乾燥させるので、乾燥時間が短く済み、作業効率が良いため、人にも環境にもやさしい塗装方法です。
― これからは、リペアして使い続けることをもっと身近に
家具づくりの現場から見ると、これからはもっとリペアに目を向けていった方がいいと思っています。
今、伐採禁止となる木材が増えていて、高級木材として人気のあったチーク材なども数が減り、家具がつくられなくなっています。
浜本工芸は創業以来、材料の品質にこだわり続けてきたメーカーということもあり、30~40年前の家具の修理相談に来られる方も少なくありません。
ただ、多くの家具店ではそうした話をすると、「新しく買い替えた方がいい」と言われてしまいます。修理するより、安価な海外製の家具に買い替える方が安く済むからですが、品質は当時の家具に到底及びません。
30年前にあった木材は、いいものから使われて今はもう枯渇してしまい、古い家具の方が数段品質のいい材料を使っています。
修理依頼をいただいて、ご自宅に伺った際に「この材料は今では絶対使えません」とか「こんな風に柄の入った木はもうありません」などと、今お使いの家具の価値をお伝えすると、大変喜んでいただけます。
その家具の価値を知ったうえで、買い替えるか修理するか決めていただけるといいですね。
古い家具の修理は、つくりが凝っていたり、材料がすでになかったり、難しい場合もありますが、職人の技術と今の材料を駆使して、生地の張替えや天板の塗り直しなど、できる限り対応いたします。
浜本工芸の家具は、永く使っていただけることを前提につくっていますので、修理しながら大切にお使いいただきたいですね。
― ロングセラーの家具を選ぶことが未来につながる
こちらは、浜本工芸でロングセラーのダイニングセット。
背もたれは、木を蒸して曲げて接合するという、昔ながらの手のかかるつくりで、今では技術を受け継ぐ職人も減っています。
古き良きデザインに、目新しさやスタイリッシュさはないかもしれませんが、今でも幅広い年代の方から支持をいただき、インテリアコーディネーターの方にも選んでいただいています。
その理由は、座り心地の良いチェアと、日本の食文化に合わせて低めにつくられたテーブル。
1997年の発売以来ヒットを続けるダイニングチェアは、椅子張り地に密度の異なるウレタンを重ね、座面を厚くしたことでソファのような座り心地を実現しました。
永く使っていただくことを考えて、立ち上がる際に便利な肘掛け付きにしたり、回転式の座面にするなどの提案もします。
海外のおしゃれな家具をインターネットで見て購入しても、日本人には高さが合わず食べにくかったり、リラックスできなかったりして、使い心地が良いとは限りません。
浜本工芸のテーブルは、みんなで鍋を囲んだり、それぞれがお椀を持って食べる和食の文化に合わせて、高さを低くすることで、使いやすさにこだわっています。
また、ロングセラーの定番商品は、発売時の価格から大きく値上がりしないことが多く、高品質ながら価格が抑えられているのもポイント。
ベーシックで飽きのこない、確かな品質の家具を大切に使い続けることがサステナブルと言えるかもしれません。
浜本工芸は、デザインだけでなく、生活そのものを提案し、使い続けていく未来のことまで考えた家具をつくり続けています。
ぜひ一度、ショールームで無垢の家具の美しさと、使い心地を体感してください。
浜本工芸 東京ショールーム
館内ショールーム
75年以上にわたり、「安心、安全」をモットーに国内生産、本物の家具にこだわった製品をご提案するショールーム。
ソファ、ダイニングセット、食器棚、テレビボード、学習机、書斎関連家具に至るまで、新作家具、人気商品、定番商品を取り揃え、トータルに本物の家具をご提案しています。
※2024年10月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。