これから新生活を始める方や、模様替えをしたい方へ向けて、OZONEインテリアデザイナーが部屋づくりの基本の流れをご案内します。
理想の部屋づくりのためにはスタートが肝心。
家具店へ行く前にやるべきことは?ソファは本当に必要?など、気になるポイントについて解説しますので、ぜひご参考にしてください。
①はじめにテーマを決めれば、迷ったときに立ち戻れる

OZONEインテリアコーディネート事例〈エレガント&クラシック〉
部屋づくりを始める際、玄関やリビング、寝室など、どの空間から手をつければいいのだろうと思うかもしれませんが、まずはメインとなるLDK(リビング・ダイニング・キッチン)から始めましょう。
1番重要なのは、はじめにどういったイメージにしたいかテーマを決めること。
すぐに家具やカーテンを見に行きたくなるものですが、そうすると全体像が見えないまま、1つひとつのアイテムを感覚で選んでしまい、バラバラな印象になります。
私たちインテリアデザイナーも、ホテルやモデルルームをコーディネートする際に、まずは全体的なイメージコンセプトを明確にしてからアイテムを集めていきます。一般のお宅の場合でもはじめに行うのは、お客様のイメージをまとめることです。
目指すゴールが決まっていれば、途中でアイテム選びに迷ったり、ブレそうになっても立ち戻ることができます。
テーマを決めるにあたり、参考となる画像を探すために、検索サイトやInstagram、Pinterestなどで、キーワードを入力して検索するかと思います。
そこでなかなかイメージに合うものが出てこない場合は、日本語でなく英語で、例えば「Interior design(目的) Luxury(目指したいテイスト) Blue(部屋全体のイメージカラー)」などと検索してみると、海外の事例も見られて、理想のイメージが見つかるかもしれません。

OZONEインテリアコーディネート事例〈北欧&ナチュラル〉
ただ、どれも素敵に見えたり、好きなテイストがまとまらなかったりして、画像を集めるだけでも疲れてしまうんですよね。
そんな時は、好きだなと感じるイメージの画像をまず5枚程集めて、分析してみましょう。
ナチュラルなのかモダンなのか、床や家具の色味と素材感、ポイントづかいの色、置いてあるインテリアなど。それらの共通点を見つけた上で、自分のオリジナリティーを出していくといいと思います。
できれば家具だけでなく、壁やアート、グリーンなど、目線の高さのインテリアがどうなっているか細かく見ていくのがおすすめです。
後でまた登場しますが、部屋に入って目を引く場所を「フォーカルポイント」と呼び、部屋の印象を決める重要なポイント。
はじめにテーマを決めて、細部までイメージすることで、数ある家具店の中でどこに行けばよいかも自ずと決まってくるはずです。
②ソファは本当に必要?レイアウトを決めてから、家具を見に行く
テーマが決まったら、次は具体的なレイアウトを考えましょう。まだ家具店へは行きません(笑)。
レイアウトは、空間で大体の位置や大きさをイメージするよりも、平面図上できちんとスケールを合わせて家具を配置していくことが大切です。
部屋の縦横のサイズから、例えばソファは幅180㎝までなら横にグリーンも置けるとか、テーブルもこの大きさなら4人座れて通路も十分取れるとか、具体的に考えていきます。その寸法を元に家具店へ行くことで、想定外に大きい家具を買ってしまったり、部屋に入れてみたらイメージと違うということがなく、最初の計画通りに進めることができます。
レイアウトのポイントとして、ダイニングを例に挙げると、対面キッチンの腰壁にダイニングテーブルをつけるかどうかという選択がありますよね。ついキッチンにつける配置にしがちですが、離すことによって回遊動線になり、テーブルの奥側に収納棚などを置いても回り込む必要がなく、使いやすいレイアウトになります。

一般的なレイアウト

回遊式ダイニングレイアウト

ラウンジチェアで構成されたリビング(株式会社キタニジャパン)
それから、家具選びというとまずソファを揃える方が多いと思いますが、その前に本当にリビングにソファが必要かどうか、よく考えてみることが大切です。
例えばお子さんが小さくて、家族みんなでくつろぐ時間が長いのであればいいと思いますが、ご夫婦2人暮らしで、1人がソファに座っていると意外と一緒に座ることは少ないんですよね。
そういうご家庭は、リビングで長時間くつろぐご主人にハイバックのラウンジチェア、立ったり座ったりが多い奥様には座面の奥行きが浅く立ち上がりやすいチェアというように、それぞれに合った1人掛けチェアを置くご提案をすることもあります。
ソファはこの先何十年使うかもしれない大きな買い物。
まずはリビングでの過ごし方を考えてみて、必ずしもソファにこだわらず、自分たちにとってくつろぎやすい椅子を探すことをおすすめします。
③インテリアの素材や色、かたち選びは、全体のテーマに合わせて
OZONEインテリアコーディネート事例
レイアウトが固まったら、いよいよ家具を買いに行きましょう。
ここでは、はじめに決めたテーマに戻って、素材や色、かたちなどを選んでいきます。
例えば、色味はナチュラル系で統一するとか、床の色味は明るく、家具は濃くするとか、素材は木で揃える、金属をポイントで入れる、など。
家具店に行くと、どうしてもアイテム単体で考えてしまいがちなので、その都度テーマに戻り、全体でイメージすることが大切です。
インテリアの中でも、窓まわりのカーテンやブラインドは大きな面積を占める重要な要素。
だからこそ選ぶのが難しく、シンプルなものを選ぶことが多いかもしれません。

OZONEインテリアコーディネート事例
ただやはり、目指すテイストに合わせて、すっきりさせたいのであればブラインドやロールスクリーン、色を入れたりやわらかさを加えたいならファブリックのカーテンというように選ぶアイテムも変わってきます。
特に、クラシカルやエレガント、ナチュラルなテイストの部屋なら、カーテンで雰囲気を演出するのがおすすめです。
窓まわりのアイテムは、もちろん機能面も大切。暑さが気になるなら、光をシャットアウトする遮光カーテンではなく、遮熱タイプにした方が、部屋が暗くならず暑さを防ぐことができます。
夜はシャッターを閉めるというお宅でしたら、レースのカーテンだけでもいいですし、よく出入りする窓はブラインドだと開け閉めが大変なので、カーテンの方が便利です。
使いやすさも考慮しながら、テーマに合ったアイテムを選んでください。
④目を引く場所「フォーカルポイント」に気合いを入れる
OZONEインテリアコーディネート事例
家具やグリーンでつくるフォーカルポイント
部屋づくりをしていく中で、隅々まで完璧にこだわることは難しいですよね。そこで「フォーカルポイント」を空間につくることで、全体のバランスも良くなりぐっと印象が上がります。
「フォーカルポイント」とは、部屋に入った時にぱっと目を引く演出された場所のこと。
リビングに入った時の正面やソファの後ろ、リビングからキッチンを見た時のダイニングの壁がどう見えるかなどを考えて「フォーカルポイント」をつくりましょう。
その際は、アートやフロアスタンド、観葉植物などを利用して、目線の高さの空間を演出していくことが効果的です。
そうすることで自然と目線が上がるので、空間がより広く豊かに見えますし、全体のバランスも良くなります。
さらに、見せたくないところから目線をそらす効果もあります。
例えば、玄関の棚に鍵などの小物が散らかっていても、花が飾ってあったらそちらに目がいきますよね。
実際、素敵だなと思う方の住まいも、よく見ると雑多に物が置かれていたりするんです。
それでも、印象的な「フォーカルポイント」がつくられていたり、好みがしっかりとあって、全体の色味や素材感が統一されているから素敵に見えるんですよね。
はじめに決めたテーマを意識しながら、「フォーカルポイント」を集中して整えることで、訪れた方にいい印象を持って帰っていただけると思います。

OZONEインテリアコーディネート事例
ミラーでつくるフォーカルポイント

OZONEインテリアコーディネート事例
アートでつくるフォーカルポイント
今回は、新生活のスタートに向けて、はじめにおさえておきたいインテリアの基本アドバイスをご紹介しました。今後は、実際に部屋づくりをしていく上でのコーディネートのポイントや、お悩みを解決するちょっとした工夫など、より実践的なテーマを取り上げていきますので、インテリアデザイナーと一緒に学んでいきましょう。

OZONEインテリアデザイナー:志村文子
大手住宅メーカーコーディネーターを経て、現在はリビングデザインセンターOZONE「OZONE家design」にて、リフォームやインテリアを担当する。
個人住宅を中心にインテリアコーディネートやリフォームを手掛ける一方、住まいづくりに関するアドバイスやセミナーの講師活動も行う。
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心地よい空間づくりのためには、床・壁などの内装材はもちろん、家具やカーテン、照明や小物に至る細部まで、よりトータルな計画をしてコーディネートすることが大切です。
OZONEのインテリアデザイナーが手がけた事例を通して、空間コーディネート術を詳しく解説します。
今回の記事に登場した「理想のイメージをまとめる方法」についても詳しくご紹介しますので、ぜひこの機会にご参加ください。
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※2025年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。