住空間にこだわる方が増え、インテリアのデザインだけでなく、素材の産地や品質にも目が向けられるようになってきました。
無垢木材の魅力を伝え続けるマルホンの製品は、環境に配慮された森林の木材のみを使用。また、「木を使い切る」という信念のものと、有効活用の困難な「ナラ枯れ材」を製品化するなどサステナブルな活動に力を入れています。
そこで今回は、マルホンの取り組みについて、マルホンショールーム MOKUZAI.comの長者菜央子さんにお話をお聞きしました。
― 素性の分かる木だけを、現地で直接調達する

マルホンでは、森林環境に配慮し、地元の生産者や生活者のことも考えて生産された「フェアウッド」と呼ばれる木材だけを取り扱っています。
こうした取り組みをしている会社は他にもあると思いますが、扱うすべての製品が条件をクリアし素性が分かっているのは、マルホンならではかもしれません。
管理を徹底するために、先進的に森林の環境保全に取り組んでいるアメリカやヨーロッパの木材調達プロセスを参考にした独自のプログラムを採用しています。
具体的には、社員が自ら世界の森林に足を運び、自分たちの目で検品はもちろん、違法伐採や、森林の循環を無視したもの、無理な労働が行われていないかなど、合法性を確認すること。
それにより、トレーサビリティを確保して、高品質なフェアウッドを厳選し、安定的にお届けできるよう努めています。直接サプライヤーから買い付けているために徹底できることです。
また、適切に管理された森林の木材に与えられる「FSC®認証」マークの木材を取り扱い、製品化することで森林資源の持続に貢献しています。
FSC®認証材は、公共の施設やオフィスなどでは導入され始めていますが、一般のお客様にはまだ身近な存在ではないので、これからさらに力を入れていきたいと思っています。

こちらは、国産FSC®認証材「天竜スギ」で作られたフローリングです。
日本三大人口美林のひとつとして名高い「天竜スギ」は見た目に美しく、耐久性、耐水性に優れているのが特徴。まっすぐ育つため、長尺のフローリングを切り出すことができます。
マルホンでは、その中でも長年、天竜材にこだわり続ける丸太会社の材を使用し、マルホンの技術を掛け合わせて品質を極めた天竜スギのフローリングをご用意しています。

建物に使用される森林由来原材料がすべて認証対象原材料である「FSC®プロジェクト全体認証」を取得したショールーム「MARUHON FUKUOKA」。

OZONE5F「国産木材の魅力発信拠点 MOCTION」の床は国産FSC®認証材のナラ材のフローリング。
宮崎県登米市の希少なナラ材で、無垢木材らしい表情豊かな木目が特徴です。

OZONEを運営するオフィス内のコラボレーションエリアの床材には、国産FSC®認証材のヤマザクラを使用。
絹のような木肌と、時とともに赤く色づく表情が人気の樹種です。
― 有効活用が難しい「ナラ枯れ材」をアップサイクル

また、最近の取り組みとして注目していただいているのが、「ナラ枯れ材」の活用です。
「ナラ枯れ」とは、ナラの木に虫が菌を運び込み、樹木内の細胞に害を与えることで枯れさせてしまう現象。樹木が自衛のためにグレーに変色することが特徴です。
近年、このナラ枯れの被害は全国的に拡大していて、倒木リスクや景観の悪化、森林資源の損失などにつながる深刻な社会問題となっています。その背景には、森林管理の担い手不足や気候変動の影響、素材活用の仕組みの未整備といった社会課題が複雑に絡んでいて、木材業界としても新たなアプローチが求められています。
これまでナラ枯れ材は、チップにしたり焼却処分されてきましたが、作業コストがかかるため山に残されることも多く、森林循環や環境保全の観点からも課題とされてきました。
マルホンでは、「木材を扱う会社として、木を有効に使い切る」という信念のもと、このナラ枯れ材に新たな価値を見出す取り組みを進めています。
自然現象によって生まれる独特の風合いをあえて活かし、従来の着色や加工では表現できない"渋みのある個性"をもった内装材としての価値に着目。FSC®認証を取得した無垢フローリングとして製品化し、持続可能な森林資源活用の一環として世に送り出しました。
展示会に出展したところ、取り組みに共感くださる方も多く、オフィスの床材として納品もさせていただきました。
自然現象によって生まれる木材で、産出量が読めないため、安定供給は難しいのですが、行き場を失った素材に価値を与え、お客様に喜んでいただける製品として流通させることが、林業関係者・森林環境・社会、それぞれにとって価値のあるソリューションになるのではと確信しています。
今後もマルホンは、林業界が抱えるさまざまな課題に対して解決の糸口を提案できる企業を目指して、ナラ枯れ材に限らず、間伐材や未利用材、外来種由来の素材などこれまで流通が難しかった森林資源の積極活用にも取り組んでいきたいと考えています。
― 長年つき合う無垢フローリングはSDGsな建材

無垢の木材は、あたたかみがあり、調湿作用によって部屋を快適に保ってくれるため、エアコンや床暖房の使用頻度が減って、無垢材を取り入れること自体がサステナブルと言えるかもしれません。
ここ数年、家で仕事をすることが一般的になってきたことで、住空間にこだわる方が増え、無垢のフローリングの人気も高まっています。
家づくりのYouTube等で、無垢材に魅力を感じてショールームに来ていただく方も多いですね。
マルホンのショールームでは、約40樹種の床材や壁、天井材をご用意し、豊富なサンプルを実際に見て、触れてお選びいただけます。

さまざまなインテリアに合わせやすい定番人気のオーク。木目がはっきりとして、無垢木材らしさを存分に味わえる樹種です。
店頭では、オーク、ウォールナット、チークなど定番の樹種がやはり人気です。
無垢材を選ぶ基準はさまざまで、お好みの色で選ぶことはもちろんですが、木のあたたかみを求める方には、堅さの指標もご紹介してお選びいただいています。
スギやヒノキなどの針葉樹はやわらかく、足裏にやさしい感触であたたかみをより感じられますが、比較的傷つきやすいのも特徴です。
反対にナラやカバザクラなどの広葉樹は、堅く丈夫なので、なるべく傷をつけたくないという方におすすめしています。
フローリングの幅も、細いものから幅広まで豊富に揃えていますが、細いものは製品化するのに無駄が少なく、より環境にやさしい建材と言えます。

チークは重厚感に満ちた表情と色合いが人気。古くから船の甲板に使われるなど、安定性と耐久性に優れています。

滲んだ墨絵のような、独特な深みのある色合いのウォールナット。家具や楽器など装飾性の高い製品にも使われています。
やわらかい樹種ほど傷がつきやすくはなりますが、傷を味と感じられるのも無垢材ならではの魅力。
また傷やシミがついても、表面を削って再塗装すれば直すことができるので、永くお使いいただけます。
無垢材は日々のお手入れが大変そうと思われるかもしれませんが、1年に1度、よく歩く所だけでもメンテナンスしていだければ大丈夫です。
お手入れの方法は塗装の種類によって異なります。木の質感を活かしたい方は「浸透性塗装」、お子さまやご高齢の方がいるご家庭はお手入れの簡単な「ウレタン塗装」など、住む方の好みやライフスタイルに合わせてお選びください。

傷や汚れが目立ってきた無垢フローリングは、表面を削って再塗装することで、美しい仕上がりに。
無垢材は、永く使い続けていくほど味わいが増し、経年変化を楽しむことができる環境にやさしい建材です。
さらに自分の選んだ床材が、山の環境に配慮されたもので、間接的でも森の循環に役立っていると思うとうれしくなりますよね。
ぜひ、マルホンのショールームで、これから長年つき合っていく無垢フローリングをお選びいただければと思います。

マルホンショールーム MOKUZAI.com
館内ショールーム
木の色、表情、温かさ、素材をそのまま活かした無垢材を取扱うショールームです。床材・内装材・カウンターなどの情報提供はもちろん、実際に施工したイメージが伝わる大判サイズのボードサンプルも取り揃えています。内装に使う無垢材についてのご相談も承っています。
※2025年4月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。