現代の生活が多様化するにつれて、故人を偲ぶかたちも様々になってきています。
今回はショールーム「瀬尾製作所展示室 SEO TOKYO SHOWROOM」の瀬尾良輔さんに、現代の暮らしに合わせた仏具を開発することになったきっかけや、実際に作られた仏具の数々のデザインや機能性について教えていただきました。
― 現代のライフスタイルに合う仏具を
仏壇は、それぞれの宗派の仏様をお祀りする小さなお寺のような存在であり、ご先祖様を偲ぶ場でもあります。
しかし近年は生活者のライフスタイルの変化から、仏壇を置くことが難しいケースがあるほか、核家族化・少子化なども影響し、故人を偲ぶ方法が多様化してきました。
そうした潮流を受け、現代の暮らしに合った仏具を開発することに至ったという瀬尾さんは、「私たちは生活環境に合わせて祈る道具を変化させることが必要だと気付きました。日常とより近いところで故人と繋がり、想い寄りそうための場所が求められています。そのため、想うための場を作るものが今の世の中に求められていることではないかと考えました。それらを私たちは「想う場をつくる道具」とし、「想具(そうぐ)」と名付けました。Sottoはその考え方をもとにつくったブランドです」とおっしゃいます。
― 開発されたSottoシリーズの仏具
そうした思いから生まれたのが、暮らしに寄り添うSottoシリーズ。
最初に開発されたのが、おりんとりん棒を組み合わせた「Cherin」です。上部の穴にりん棒を立てて納めるようになっており、おりんを叩いた後にりん棒を戻しても、音が鳴り止むことはありません。コンパクトにまとまったデザインは、インテリアでもオブジェのような佇まいです。
「Potterin」は、しずく型の本体の中に、「三具足」(火立、香立、花立)がすべて納められ、台座部分はそのままおりんの役割を担います。三具足を全て広げれば、本格的な祈りの場に設えることができるのが特徴です。
「仏具という今を生きる人と故人とを結ぶ伝統的な役割を持ちながら、まったく質感の異なる素材を組み合わせ、それぞれの職人技を施すという挑戦をしています。そうした美しい調和が図れたことで、グッドデザイン賞受賞という高い評価もいただきました」と、製造過程の裏話を話してくださった瀬尾さん。
動画では、三具足を実際に広げる様子をご覧いただけます。
故人の形見に思いを馳せることから着想された「Ring」は、身に付けることでの多くの時を共に過ごしたであろう故人の指輪を祈りの対象とし、新しい供養のかたちを提案しています。
「指輪とその中心からまっすぐ伸びるりん棒は、故人への思いと向き合う対象となり、美しい音色とともに祈りを届けます」。
― 動画「暮らしにそっと寄り添う仏具」
瀬尾製作所展示室 SEO TOKYO SHOWROOM 瀬尾良輔さんが、現代の暮らしに合った仏具の開発エピソードや、実際の使い方やおりんの音色などを動画で紹介しています。是非ご視聴ください。(※約4分)
※2022年1月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。